ペットロスと気づき―映画『ねことじいちゃん』で再発見した、ペットと暮らす価値。

ペットロスにおすすめの映画「ねことじいちゃん」のアイキャッチ

ペットには、ペット自身にしかわからない世界がきっとあります。

もちろんそれは人間も同じです。

そんなペットと人間が互いに寄り添い想い合う暮らしは、とても素敵です。

この作品は、このような「当たり前だけど忘れてしまっていたペットとのこと」をいくつも思い出させてくれます。

そして穏やかで優しくて温かく、ペットロスで傷ついた心を治療してくれます。

ペットはよく見て気づいてくれる

ペットロスにおすすめ映画「ねことじいちゃん」の映画ポスター

主人公の大吉は妻に先立たれ、猫のタマと暮らすおじいちゃん。

あちこちに猫がいる小さな島で、住民たちとのんびり暮らしています。

このタマは、最初は毎日のんびり自由気ままに暮らしているだけかと思ったのですが、大吉のことを実によく見ていて、理解しています。

大吉が探していたノートをタンスの上から落として見つけさせてくれたり、大吉が体調を崩し寝ることが多くなると同時にタマは家から姿を消し、3日後に魚を持って帰ってきてくれたり。

タマだけではありません。

ペットたちは、飼い主をよく見ています。

筆者の亡くした愛鳥も、普段は家族より自分の遊びといった具合でしたが、泣いていた時に肩まで飛んできて、涙をちょんちょんとクチバシでつついてくれたことがありました。

夢中で遊んでいたので、まさか泣いていることに気づくなんてと驚かされたのをよく覚えています。

タマも、そして私たちのペットも、飼い主のことを想いながら生きていてくれるんだと思うと、心がとても温まります。

「ペットなんか」から抜け出させてくれる存在

大吉の友人 巌とサチは幼馴染でお互いに好意を抱いていましたが、サチは愛猫のミーちゃんを残して亡くなってしまいます。

残されたミーちゃんを巌が引き取ってはどうかと島民一同が進めると、巌は「残された者は寂しいぞ、二度もこんな気分味わわせんで。」と言います。

この言葉を聞いた時、筆者がペットロスを経験した時を思い出しました。

筆者も当時は寂しさと悲しさでいっぱいで、「二度とこんな想いをしたくないからもうペットは飼わない」と考えていました。

ペットロスにおすすめ映画「ねことじいちゃん」の1シーン。ミーちゃんがテーブルに両手をのせている

しかし、そんな「もうペットなんか、動物なんか」という悲しい考えから脱却出来たのもまた、動物のお陰でした

新しい子を迎え入れるためにペットショップに行ったとき、そして今の子を一目見た時、「この子とまた暮らしていけたら、悲しい思いよりもっと多くの幸せを感じられる」そう思ったのです。

作中のミーちゃんは巌が引き取ることなく“みんなの猫”とされるのですが、巌の心の傷はミーちゃんによって段々と癒されていっているように見受けられました。

愛する人やペットなどの「命」が亡くなることは、ひどく悲しく簡単には立ち直れないことですが、明るい方へ手を引いてくれるのも「命」なんだと、改めて考えさせられます。

筆者をペットロスから抜け出させてくれた今の子には、やはり感謝してもしきれません。


この作品は、何も悪いことが起きない、島の日常を描いています。

だからこそ自分自身のペットとの日常を投影して、客観的に見ることができます。

みなさんも大吉とタマ、そして島民と猫たちから、ペットとの日々の愛おしさやありがたさを改めて感じてみませんか。

あらすじ

2年前に妻に先立たれ、飼い猫のタマと二人暮らしの大吉、70歳。
毎朝の日課はタマとの散歩、趣味は亡き妻の残した料理レシピノートを完成させること。
島にカフェを開いた若い女性・美智子に料理を教わったり、幼なじみの巌や気心知れた友人たちとのんびり過ごしている。

しかし友人の死や大吉自身もこれまでにない体の不調を覚えたりと、穏やかな毎日に変化が訪れはじめた矢先、タマが姿を消して―。

1人と一匹、生まれ育ったこの島で、共に豊に生きるためにした人生の選択とは―。

引用:Filmarks

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作品情報
原作:「ねことじいちゃん」ねこまき
配給:クロックワークス
公開日:2019年2月22日
スタッフ・キャスト
監督:岩合光照
脚本:坪田文
大吉:立川志の輔
美智子:柴咲コウ
巌:小林薫
ほか