ペットロスの今だからこそ観るべき映画「マイドッグ スキップ」

ペットロスを癒やす映画「My Dog Skip」の映画ポスター

この映画の原作はミシシッピー州出身の作家、ウィリー・モリスのMy Dog Skipで、自身が少年期に体験した愛犬スキップとの思い出が綴られた自伝小説です。

ペットロスにおすすめの映画「マイドッグスキップ」の原作「My Dog Skip」の表紙

※ネタバレが含まれます。ご注意ください。

出会い

マイドッグスキップは第二次世界大戦当時の物語です。

いじめられっ子で孤独だったひとりっ子のウィリーは、母から仔犬をプレゼントされます。

父親は戦争のトラウマから寿命が人より短い犬を迎えることに躊躇していました。

沢山の人間の死で「ヒューマンロス」と向き合ってきたからこそ、息子に悲しい思いをさせたくないという父親の気持ちもわかります。

父親のこの気持ちは、まさにペットロスを一度経験した、飼い主さんの気持ちを代弁しているかのようです。

人も犬も「失う」気持ちは全く同じですから。

しかし、ウィリーにとってはスキップという、何があっても無条件で自分を愛してくれるバディができたことは幸いでした。

ペットは人間がどんな声でどんな見た目をしているかなんて気にしません。

ただただ、自分を愛してくれる人を愛するからです。

人は心が弱くなったとき、絶対的な存在がいることで安心感を得、強くなれます。

私たちと愛するペットたちは、無条件の愛の絆で結ばれ、同士となることで、お互いにより強くなれると思うのです。

「私にはこの子がいる!」それだけで十分だ、と。

ウィリーは、スキップ(犬の名前)の心の支えもあり、友達も増え、どんどん自信をつけていきます。

これこそが「ペットの力」だと、ご覧になった方も感じることでしょう。

二人の絆

ウィリーがスキップをたたいてしまう場面は、人間として不完全な少年ならあり得ることです。

大人の私ですら愛犬が思い通りにならない時にはイライラすることは、正直あるのですから。

私はペットと一緒にいると、人間はもともと不完全だと度々思い知ることがあります。

そしてその都度ペットを尊敬するのです。

大好きなウィリーにたたかれ、その場を去るしかなかったスキップの気持ちはきっと

「最愛の人に嫌われてしまった」

「ショック」

という気持ちだったのではないでしょうか。

犬の気持ちには憎しみや恨みはありません。

あるとすれば、大好きな人を怒らせてしまった「悲しみ」や「困惑」でしょう。

大怪我をして生死をさまようスキップに、ウィリーは叫ぶのです。

「君のような友達は2度と持てない!」「死なないで!」

幸いスキップの命は助かりました。

この時、ウィリーは最愛のペットとの別れの疑似体験をしたことでしょう。

スキップへの八つ当たりに対する深い「後悔」と自分自身への「行き場のない怒り」を友人にぶつけてしまうというシーンもあり「他人に怒りをあらわにする」というペットロスに近い状態がでています。

もしこの時スキップを失っていたら、ウィリーは自分を許せたでしょうか?

自分が罪のないスキップにしてしまったことへの後悔の念とともに、このまま重いペットロスになっていたかもしれません。

ペットロスにおすすめの映画「マイドッグスキップ」の1シーン。ウィリーとスキップが公園で休んでいる。

さよなら

ウィリーが成長し、家をでることでスキップとの別れがきます。

ウィリーの気持ちもきっと寂しかったに違いありませんが、老犬になったスキップが置き去りにされる気持ちを思うといたたまれなくなりました。

スキップにできることは、ウィリーを待つことしかないでしょう。

子供の頃いつも一緒でも、子犬が産まれてから亡くなるまでの10数年の間に、人は成長し巣立たなくてはなりません。

どんなに置いていきたくなくてもその時期はやってきます。

人間にとっては未来が待っていても、置いて行かれるペットは意味が分からず、悲嘆にくれることになります。

以前私は同じことを動物病院の先生から言われました。

「君は成長して犬を置いて去っていく。その覚悟は犬を飼う時出来ていたかい?」

とても刺さる言葉で、いつまでたっても忘れることはできません。

スキップはウィリーの匂いのする彼の部屋で過ごし、命を全うします。

二人にとって、本当のさよならです。

「マイドッグスキップ」映画を観終わって感じたこと

エンディングでウィリーは、スキップは僕の心の中で眠っているとつぶやき、「He thought of Skip every day」(彼(ウィリー)は毎日スキップを想った)とテロップが流れます。

この気持ちがペットロスでなかったら、なんと表せばよいのでしょうか。

彼はスキップを看取ることはできませんでした。

もしかしたら、大学に旅立つ時も含め、彼の気持ちには「後悔」が残ったかもしれません。

ウィリーはスキップとの思い出を一冊の本の中に書きだすことで、読者の皆さんと切なさや悲しみを共有し、自身の想いを「受容」させたのだと、私は思います。

ウィリーがスキップの死を受け入れたことで、スキップはまた彼の脳裏に鮮やかに思い出として何度もよみがえることができたのでしょうから。

ウィリーとスキップのウソ偽りない絆を描くこの映画は、今ペットロスを経験している方こそご視聴されるべき映画だと思います。

マイドッグ スキップAmazonprimeで視聴可能です。

あらすじ

1942年の第二次世界大戦中の米国ミシシッピーの片田舎ヤズー。

繊細で小柄な8歳の少年ウィリーは仲間からいじめられ、孤独な毎日を過ごしていた。

そんなウィリーを心配した母親は誕生日プレゼントにスキッパーと名付けた子犬をプレゼントする。

以来、スキップと呼ばれた非常に賢い子犬はウィリーの大親友となった。

しかし、ある時ウィリーが自分勝手な理由でスキップに八つ当たりしたことで、スキップは姿を消してしまう。

愛犬との友情を通して孤独な少年が成長していく姿を描いていく感動の実話物語

作品詳細:

監督:ジェイ・ラッセル

脚本:ゲイル・ギルクリースト

原作:ウィリー・モリス

キャスト

ウィリー:フランキー・ムニッズ

エレン・モリス:ダイアン・レイン

ジャック・モリス:ケビン・ベーコン

ディンク・ジェンキンス:ルーク・ウィルソン 他