ペットは私たち人間に、大切なことをいくつも気づかせてくれます。
子育ての練習のつもりで、軽はずみにジョンに飼われた”おバカ”なラブラドールレトリーバーのマーリー。彼も例外ではありません。
ペットが自分のもとに来てくれたのは確実に運命で、ペットなりに人間に伝えたいことを抱えていたのだと、この作品を通して感じることでしょう。
そして、
「出会ってくれてありがとう」
亡くなったペットへ、改めてそう伝えたくなるはずです。
ペットは代わりのいない存在
マーリーにある日、胃捻転が見つかります。
老犬のマーリーには治療に耐えられる体力がなく、治療をするか安楽死にするかはジョンに委ねられました。
このシーンの少し前の「自分で逝ってくれよ、俺たちに委ねないでくれ」というジョンの言葉からわかるように、飼い主がペットの死を決断することは辛く、避けたいことです。
筆者の亡くなった愛鳥も生前は身体が弱く、何度も病院に通っていましたが、
あの場で突然「もう体力がなくて助けることが出来ないから安楽死にするか」と尋ねられても、答えられる自信がありません。
それに、愛鳥の最期は筆者の目の前でしたが、息を引き取る瞬間を看取るのは辛いものでした。
辛い思いをしながらもマーリーのための選択をしたジョンを、マーリーは誇らしく思っていることでしょう。
病院で横たわるマーリーに対して、ジョンは最期に「世界中どこを探したって、お前ほどの犬は居やしない」と伝えます。
子育ての練習のつもりで軽はずみに飼い始められたマーリーでしたが、子どもが生まれた後も大切にされ続け、ここまでジョンに思われているのです。
それどころか、仕事第一の性格だったジョンが、マーリーを迎え入れてから「家族」という意識が芽生え始め、家庭を顧みる性格へと変化したのです。
ジョンの心に変化をもたらしたのは他でもない、マーリーでしょう。
マーリーは「人間も動物も、誰も代わりはいない」と伝えること、そしてジョンを変えることを使命としてジョン達に巡り合ったのではないでしょうかと思わされます。
家族にとっての父親、夫も、マーリーにとっての飼い主も、代わりはいませんからね。
このことはもちろん、我々も同じです。
小さな頃からずっと一緒に過ごしてきた筆者の亡くなった愛鳥も、
「可愛いね」「家に来てくれてありがとう」「大好きだよ」
と、誰よりも素直に愛情表現ができ、向き合える唯一無二の存在でした。
「世界中どこにも代わりのいない、相棒のような存在になるべく筆者のもとにやってきてくれたのかもしれない」
そう思うと改めてありがとうと伝えたくなります。
「お前は最高の犬だから」
そしてジョンは続けて「天国はどこにあるか知らないけど、きっと行ける。お前は最高の犬だから」そう伝えたのです。
この言葉を聞いたとき、亡くなった愛鳥への心配が軽くなりました。
「虹の橋をちゃんと渡れたかな?ちゃんと幸せに暮らしているかな?」
そんな風に思うことが多々ありましたが、そのようなことは心配ありませんでした。
なぜなら、可愛くて、甘えるのは苦手だけれど家族のことはきちんと大好きで、いたずらとおしゃべりが好きで…
他にはどこにもいない、たった一匹の「最高の鳥」だからです。
「もし虹の橋を渡った先でトラブルがあっても、生きていた頃の愛らしさと少しの図々しさでどうにかしているんだろうな」
そう思うと微笑ましく温かい気持ちになりました。
「あなたにとって、純粋に愛することができ、自分は特別だと思わせてくれ、誇らしい気持ちを抱かせてくれる人は何人いますか?」
これは、この作品が最後に私たちに問いかけてきた質問です。
皆さんは誰を思い浮かべたでしょうか。
家族、友人、恋人…
そこにもちろんペットもいることでしょう。
ペットたちは、私たちに愛や誇らしさを抱かせることを使命のひとつとして、出会うべくして出会ってくれたのかもしれませんね。
あらすじ
※「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」はU-NEXT・Amazonプライムなどでご視聴いただけます。
作品情報
原作:「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」ジョン・グローガン
配給:20世紀フォックス
公開日:2008年12月25日(米)、2009年3月27日(日)
スタッフ・キャスト
監督:デヴィット・フランケル
脚本:スコット・フランク、ドン・ルース
ジョン・グローガン:オーウェン・ウィルソン
ジェニー・グローガン:ジェニファー・アニストン
ほか
子育ての予行練習のため、ラブラドールレトリバーの子犬を迎え入れた新婚のジョンとジェニー。
だが、マーリーと名づけた子犬は元気いっぱいで、手に負えないいたずらをしでかしてばかり。
2人はそんなマーリーに振り回されっぱなしの日々を送っていたが…。
引用:Filmarks