新しい子を迎える準備に。「グーグーだって猫である。」映画レビュー

ペットロスにおすすめの映画「グーグーだって猫である。」の1シーン。サバがグーグーに顔を寄せている。

「亡くなったペットのことがずっと頭から離れず、どうしても次の子をお迎えする勇気がない。」

「亡くなったペットにもう一度だけでいいから会いたい。」

「前の子を忘れられない状態で新しい子を迎え入れるのはどちらにとっても可哀想ではないだろうか。」

この作品はそんなペットロスの悩みに寄り添ってくれて、一歩踏み出す勇気をくれます

今抱えている不安は、作中のサバとグーグーを見たら軽くなることでしょう。

 原作は少女漫画家 大島弓子の自伝的エッセイ漫画で、愛する猫を亡くし、そして新しい猫を迎え入れた日常を穏やかに描いています。

2度目の猫は得

ペットロスにおすすめの映画「グーグーだって猫である。」の映画ポスター。タータンチェックの紙袋からグーグーが顔を出している。

 物語は、主人公 麻子の愛猫サバが亡くなってしまう場面からはじまり、麻子は何もかも手につかず魂の抜けたような日常を送っています

筆者自身も深いペットロスを経験しましたが、

ペットが亡くなった日の夕ご飯は味がしなかったこと

大好きな鳴き声がしなくなった家にいるのも辛かったこと など

あの辛い日々と重ね合わせてしまい、胸が痛くなり締め付けられます。

 麻子はそんな中で新しい猫のグーグーをお迎えします。

途中「2度目の猫は得ですね、死んだ猫の分まで大事にされる」という台詞が出てきます。

ペットロスの経験を経て、後悔しないよう新しいペットを存分に愛そうとするその姿にとても胸を打たれると同時に、

そのような考えはペットロスを経験した人にしか出来ない考えなのではと思いました。

2度目の猫を“先代と比べて”得としているわけではなく、

どれだけ愛しても亡くした時に悔しさが残ることを知っているからこそ、更に愛情深くなる様子が表われており、強く共感できます。

これを読んでいる皆さんも、同じ考えの方が多いのではないでしょうか。

とっても楽しかった、ありがとう

ペットロスにおすすめの映画「グーグーだって猫である。」の1シーン。鏡の上で寝ているサバを撮影する麻子。

 物語の終盤、麻子は夢の中で人間の姿になったサバに会います

サバは麻子に生きていた頃の思い出を話し、

麻子さんが私のことをよく知っているように、私もあなたのことをよく知っています

とっても楽しかった、麻子さん、ありがとう

そう伝えるのです。

それを聞いた麻子の表情は、それはもう幸せそうなものでした。

筆者の愛鳥が亡くなった時は 最後の力を振り絞って手の中に入ってきてくれたのですが、あれはサバと同じように感謝を伝えてくれたのかもしれない。

そう思うとこちらまで心が満たされ、涙ぐんでしまいました。

あの時は亡くなってしまった悲しさでいっぱいでそんな余裕は無かったけれど、

今改めて「こちらこそありがとう」と伝えたい気持ちになりました。

そして、ペットが虹の橋を渡るその日に「とっても楽しかった、ありがとう」、

そう思ってもらえるような飼い主でなくてはならない、改めてそう強く感じさせられました。

 この作品は、ペットロスに悩む人はもちろん、新しい子を迎えようか迷っている人、今飼っているペットへの愛を更に深めたい人、どんな形であれペットを愛する全ての人の心に残る作品です。

心がポカポカして、そしてちょっとセンチメンタル

そんな感覚を是非サバとグーグーと共に味わってみてください

あらすじ

漫画家の小島麻子は締め切りに追われる生活の中、愛猫のサバを突然亡くす。

サバを失った悲しみから漫画が描けなくなった麻子は、新たにアメリカンショートヘアーの子猫グーグーを家に迎え、再びペンを取るようになるが、新作の取材中に突然倒れてしまう…。

引用:Filmarks

※「グーグーだって猫である」はHuluU-NEXTなどでご視聴いただけます。

作品情報
原作:「グーグーだって猫である」大島弓子 (角川書店)
配給:アスミック・エース
公開日:2008年9月6日
スタッフ・キャスト
監督・脚本:犬童一心
小島麻子:小泉今日子
ナオミ:上野樹里
沢村青自:加瀬亮
ほか