※ネタバレがあります。ご注意ください。
「エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語」はベストセラーとなった『エンゾ―レーサーになりたかった犬とある家族の物語』(原題:The Art of Racing in the Rain)ガース・スタイン著が原作の映画です。
老齢のエンツォの身体はすでに自分ではコントロールできなくなり、お漏らししたおしっこの中で横たわる姿から始まる物語は、胸に詰まるものがあります。
そんな姿を観ながら、自分の犬がもし介護を必要するようになったら、果たして自分はどのような感情になるだろうと考えてしまいました。
みなさんの中にもペットの介護を経験され、看取った方が沢山いらっしゃると思います。
以前私が住んでいたマンションの隣人がレトリバーを飼っていました。
玄関先でばったりお会いしたとき、介護生活を横から見ていた私はつい、わんちゃんは大丈夫か聞いてしまいました。
私に一部始終を話しながら、介護の末旅立ったことを話した時、その方が突然泣きだしてしまったことをいまでも忘れられません。
私は聞いてしまったことを後悔しましたが、ペットが亡くなった辛さを共有できたつもりです。
しかし、どのような辛い気持ちで介護されていたかどうかを理解できていたか、というと自信がありません。
「エンツォ」という名前は、カーレーサーである最愛の家族のデニーが付けました。
デニーがもっとも尊敬する人の名前をもらった仔犬は、愛情たっぷりの笑顔を向けられ、とても幸せそうでした。
この時の二人のシーンを思い出すだけでも、微笑んでしまう自分がいます。
ペットとの出会いはいつも、どんな人にも笑顔を運んでくるものですよね。
買い物も、テレビを見る時もいつも一緒の二人の絆は非常に強く感じられ、幸せそのものの二人の生活は誰よりも満ち足りているように見えました。
ところで、映画をみているといつも思うのですが、欧米では日本より動物と人間の関係がとても自然に感じるのは私だけでしょうか。
日本では動物に対する規則が厳しく、残念な思いをすることが多いと感じてしまいます。
日本ももっとペットフレンドリーな国になると良いのですが。
土砂振りの中のレース
円満な家庭生活を送る中、妻のイブが病で倒れてからは彼とエンツォをとりまく日常は先の見えない人生の「土砂降りの中のレース」を強いられます。
エンツォは自分が家族にできることを精いっぱい考えます。
そんなエンツォの姿はかいがいしく、家族に理不尽な目に合わされても決して恨むことなく常に家族う姿が本当に愛しく感じられ、胸が詰まりました。
みなさんは、エンツォが自分の家族にしていたように、自分がふさぎ込んでいる時、犬が「散歩に行こう!」とリードを持ってきてくれた経験はありますか?
そこまでではなくても、気付けば周りに犬が大好きなおもちゃを沢山持ってきてくれていたり、お座りして離れないなど。
自分勝手な考えかもしれませんが、そんな時、この子(犬)なりに私を慰めてくれているんだな、と感じその一生懸命さと健気さに、こちらはまた涙してしまうのです。
エンツォの願い
必死に一家を助けてきたエンツォも年を取り、次第に弱って行く中で、ひとつの願いが彼を支えます。
それは「犬が精一杯生きたら、人間に生まれ変わることができる」というモンゴルの言い伝えでした。
エンツォが信じる「生まれ変わり」
私は家族のために懸命に生きたエンツォの願いが必ずかなえられるように、祈るばかりでした。
私たちはペットが亡くなると虹の橋に渡ると言います。
その虹の橋のふもとから、飼い主を待って一緒に天国に渡ると言う有名な詩ですが、エンツォには知るよしもないでしょう。
私たちは虹の橋の物語と同時に「生まれ変わった子」にも会いたいと願います。
自分が生きている間にもう一度会いたい。
エンツォが選んだ道はそちらの方だったようです。
8年後、夢を叶えているデニーの元へレーサー志望のエンツォという名前の1人の少年が訪ねてきます。
彼は愛するデニーときっと「再会」したのだと、私は信じています。
エンツォのもうひとつの願い、「記憶はそのままに」
前世が犬というところが、つい微笑んでしまいますが、デニーとの再会を思い切り喜ぶことができる方法はそれしかないでしょう。
エンツォがたどった生涯、家族への愛、献身は涙なくしてはみられません。
この物語は犬を愛した全ての方に強くお勧めしたい物語です。
※「エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語 」はAmazonプライム(有料)などで視聴できます。
あらすじ
この映画は犬のエンツォの視点からカーレーサーとその家族の人生を描くヒューマンドラマです。
家族とカーレースをこよなく愛するエンツォは、「どしゃ降りの人生」を歩むことになってしまった飼い主一家の心の支えとなるために、彼らを静かに、生涯を通してあたたかく見守りつづけます。
年を取ったエンツォは死ぬことを怖がっていません。なぜならエンツォには、希望があるからです。その願いが叶うかどうか、果たして。
作品詳細
監督:サイモン・カーティス
脚本:マーク・ボンバック
キャスト
エンツォの声:ケビン・コスナー
デニー・スウィフト:マイロ・ヴィンティミリア
イヴ・スウィフト:アマンダ・セイフライド
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